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2010年初夏の掲示板

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 Re: 「している」「してある」
 2010/08/09 10:09
塩見真一
AはX規格に準拠していますが、これこれの理由で以下の点を修正してあります。

「している」「してある」の違いについてその後また少し考えて、何がきっかけだったかは思い出せないのだけど、ひとつ気がつきました。
「している」が意味するのは現在、いま現在そういう状態になっているということを主に言っている。一方、「してある」が意味するのは完了、なんらかの過程を経て現在そういう状態になっているという、過去とつながった現在を言っている……と、考えてよさそうに思います。
「してある」には誰かがそうしたという意図も含まれているのですが、それもまあつまり誰かがそうしたという過程を表していると考えていいのではないでしょうか。

で、こう考えるとですね、「いる」は生物「ある」は無生物という使い分けも本質的に同じことだと解釈できるんですよ。
つまり、生物は勝手に動くので、現在どうなっているかはわかるが、どういう過程でこうなっているか確かなことは言えない。なので、生物について現在を意味する「いる」はおかしくないが過程を含んだ「ある」を使うのはおかしい。
無生物はその逆、勝手に動くことはないから現在は間違いなく過程と結び付いている。だから、無生物については「ある」がふさわしく、「いる」ではおかしい。生物の中でもやたらに動かない植物はそれと同じ、「松の木がいる」というと現在だけになっておかしく聞こえ、「松の木がある」と過程を込めて言うほうが自然に聞こえる、……と説明ができます。

まあちょっと無理もあるんだよな。
たとえば「修正してある」に代わる言いかたとしてありそうなのは、「修正されている」です。誰が修正したかは知らないがとにかく現状は修正されている、という、過程を意識しているというべきか無視しているというべきか、どっちか判断に困る言いかたですね。いずれにせよ、過程を意識した言いかたとしても「修正されてある」とは言えないでしょう。
また一方、「準拠している」を、過程を込めた「してある」表現に置き換えるのは難しい。「準拠して設計してある」とか「準拠するように実装してある」とか、文の構造が変わってしまう。
結局やはり、「準拠」「修正」を「している」「してある」から切り離してはいけないのではないか、「している」「してある」の違いよりもその前につくサ変名詞の意味が強いのではないか、という気がします。
そのへんはもう学者の領域でしょうけどねえ。

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 Re: 『薬学女子』
 2010/07/05 12:31
塩見真一
「処方箋の疑義照会」という実習のことが描かれていました。医師が書いた処方箋、これこれの薬をこれだけ出せという指示が間違っていると思われるときに医師に問い合わせて確認する、という実習。医者だって人間だから時には間違いもあるけど、間違いを見逃したら患者の生命に関わるから、薬剤師はおかしいと思ったら聞き合わせて確認する。
そりゃまあ当然の仕事だと思うけど、それを学校で練習したうえで薬剤師になるのだというのは、なんかやっぱり感心しますね。どうですか、私はそもそも勉強してないけど、ちゃんと学校で勉強してプログラマやSEになった人の中で、仕様バグとかめためたな要求仕様とかをどうしたらいいか、練習してきた人がいますかね。

それともうひとつ、疑義照会って、私が客先でやっているリライトの仕事と重なります。リライトって字面では書き直すことですが、いつだったか言ったように技術ドキュメントでは読みやすさ理解しやすさは二の次三の次なので、より本質的には、プログラマが書き起こした原稿の誤記・記載漏れ・説明不足をチェックする仕事なんです。実際、工数やニーズによっては、チェックして指摘するだけで書き直さないこともあります。
医者と同じくプログラマも人間なので時には間違いもある。それを見逃したら……まあ生命に関わることはないけど読み手が困るので、私はおかしいと思ったら疑問符を付けるし正しいのはこうだろうと推測が付けば書き直しておいてこれで合ってますかと確認をしてもらう。これ、正直言うと書き直すより大変です。
誰だって自分の仕事の間違いを指摘されたらやはり面白くないに決まってるわけで、言葉遣いには気を使いますし、正しい結果に到達しなきゃいけないから、なぜおかしいと思うかどういう根拠でこっちが正しいと思うかをきちんと説明しなきゃいけない(しかもそれが自分の力を誇示するような調子になってはいけない)。ことによると本文を書き直すより、指摘のコメントを書くほうに時間がかかったりもします。
そしてまた、それだけ手をかけて疑問を突きつけても、いえ修正しないでくださいそういう仕様なんですと言われたら、引き下がるしかない。
や、私は一度言ったらあとは抵抗しない方針でやっているんですが、薬剤師はそこでもういっぺん食い下がるらしい、少なくとも、もういっぺん食い下がる練習をするらしいです。そりゃ生命かかってるんだしもちろん必要だと思うけど、たいへんだよなあ。

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 Re: 『薬学女子』
 2010/07/03 10:23
塩見真一
おお、そうかMR。いや、この本の007ページに、「薬剤師の就職先は病院や薬局、製薬会社等で職種も実は様々です」といって薬剤師と研究職とMRというのが載ってて、何だろうと思っていたですよ。はあー、なんでまた呼び名が変わったんですかね。

そういえば数年前から「助教授」が「准教授」に変わっているようですが、あれもなんだか不思議ですね。私ゃ大学という組織になじみがないけど、教授とか助教授/准教授というのは普通の会社で言うと部長とか課長とかいうのと同様に、組織の中での立場を表す職名ですよね。つまり副部長を次長に変えるような感じだと思うんだけど、変えたっていいけど全国あちこちの大学でいっせいに変える必要はないだろうと思う。それが国立も私立もいっせいに変わるってのはどういう理由だか、不思議です。

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 Re: 『交通の教則』
 2010/07/02 10:36
塩見真一
ははあそうか、「原則」を考えると話を整理しやすくなりますね。

>バスの運転者は、発車するにあたり、その直前に安全が確認できた場合を除き、警音器を吹鳴すること。

この文は、発車するにあたり警音器を吹鳴するのが原則、安全が確認できた場合は例外、と言っている。しかしこれとは別に「発車するにあたり安全を確認すること」という暗黙の大原則があるため、結局この文は例外のほうが必ず適用されることになり、原則が有名無実になっている。文面での原則と例外の関係が現実に即していないという問題だった、なるほど。

と納得したら、なぜこんなふうにねじくれた文ができたのだろうと、そっちへ考えが進みました。
まあ最初からねじくれていたわけではないでしょう、おそらく最初は原則だけ、「バスの運転者は、発車するにあたり警音器を吹鳴すること」という単純なルールだったのだと思われます。時代を考えると「警音器ヲ吹鳴スヘシ」だったかもしれない。しかしそのうちだんだんバスが増えてきて、交通渋滞も増えてきて、いちいち警音器を吹鳴されたらやかましくてかなわん、ということになった。それで、もうこれやめようということになったのだけど、すでに定着している規則を無くすのにはいろいろと抵抗があって、無くさずに有名無実にする方向で修正された。つまり、「その直前に安全が確認できた場合を除き、」を書き足して、事実上吹鳴しなくていいことにした。
……という想像が浮かんだのですが、さてあたっているでしょうか。

や、こういう想像が浮かぶということはつまり、私が客先でやってる規則文の仕事でもこういうことがしばしば起こるから、じゃない、起こりかけるのを私がきりきりして食い止めているから、なんですが。

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 Re: 『薬学女子』
 2010/07/01 23:44
麗明舎
最近はえむあーると言いますね<プロパー

薬学出身の人はいないような気がしますが、どうなんでしょうか。

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 『薬学女子』
 2010/07/01 12:32
塩見真一
北乃ブンコ PHP研究所 ISBN978-4-569-77979-9 2010年7月7日 定価:本体952円(税別)

このあいだあるところのファミレスに入ったら、隣の席の女性2人組が2人ともノートパソコンを広げて、無線のアダプタ付けて、なにかカタカタやっていたのがだいぶ異様に見えて、思わず聞き耳を立ててしまいました。まあ半分は仕事の愚痴とか婚活の話だったんですが、どうやら薬品メーカーの営業さんらしい、プロパー、というんでしたっけ。やーあの人たちも薬学女子だったのかな。

そんなこともあったりして、「仕事の技能を学ぶ若人たち」のお話薬学編。北乃ブンコさんは生まれも育ちも北海道、高校を出た後留学し海外の大学を出て戻ってきてある大学の薬学部へ編入し、いささか不純な動機ながら、成績優秀とはいえないながら、薬剤師を目指して勉強中、という方です。
実習に明け暮れる薬学学生の日々、教官、同級生たち、北海道の鉄道事情がちょこっと出てきて、最後のほうに薬というもののこと、薬剤師という仕事のこと。
実習の中で、化学実験は私も経験あるし動物実験は想像が付くし、軟膏をこねたり錠剤を作ったりする調剤実習はさもあらんと思うのだけど、服薬指導実習というのが何度も出てきていました。学生が二人、患者役と薬剤師役になって薬の飲みかたを説明したり質問に答えたりするというロールプレイですが、なるほど薬剤師というのも専門知識だけではいけないのだなと、専門知識を素人につないでいくインタープリターとしての能力も求められるのだなと、なんか納得しました。

まあ正直、マンガとしてのできはまだまだな感じです。絵は別としても……いや、私の受ける印象は絵のできに大いに左右されているのだけど、あえてそれを別として……、もう少し深みが足りないというか、そんな感じ。あたってるかどうかわからないけど、ひとつにはブンコさんがまだ学生だからじゃないかなと、卒業して薬剤師になって数年して、それから学生時代を振り返って描いたら、同じことでもまたじっくりしたお話になるのじゃないかなと、そんなことを思いました。

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 Re: 『交通の教則』
 2010/06/30 22:12
麗明舎
バスの運転手も、原則としては出発のときにはクラクションを鳴らさないといかん、なんて知らんのではないか(笑)。

でも、安全が確認できないときは発車しない、が正しい運転だと思うなり。

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 Re: 『交通の教則』
 2010/06/30 01:32
みちる
ううむ、私がバスの運転者になることはまずないでしょうが、しかし、発車するその直前に安全が確認できた場合とできなかった場合とそれぞれどうしたらいいのか、誰か説明してくださいよ。


…バスの運転手知り合いにいますけど聞きましょうか(そう言う問題じゃない事はもちろん把握してます)


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 Re: 『交通の教則』
 2010/06/29 11:02
塩見真一
「お役所文」についてわざわざ取り上げたのは、や、ここしばらく客先でやっていた仕事に関係がありますねきっと。
私が客先でリライトしたり書き起こしたりしているのは基本的に技術文、ソフト/ハードの仕様や使いかたを説明する文章なのですが、ひとつだけ規則文、これをしてはいけないそれをしなければいけないといった決まりごとを書いた文章があります。定期的にそれを改訂する作業が回ってくるのですが、これがねえ、分量はそこそこの割に激しく消耗させられるんですよ。ここをこう変えてほしい、これを追記してほしい、ここが間違っているので訂正してほしい、といった改訂要求が1回の改訂で70項目ぐらいあって、それをとりあえず反映するのにまる1週間かかる。その間は連日終電だし、1項目片付けるのに半日かかることさえあるし、とにかくイライラしてしかたないのです。んー、リライトしながら原稿の下手さかげんにブツブツ言ってしまうのはその昔編集者だったころからそうでしたが、なんかこの規則文についてはブツブツというかもう、腹が立つとかムカつくとか言ってもいいような気分になるんですわ。

理由はいろいろあるだろうけど、ひとつ言えるのはそれが規則文だから、お役所文と同じように可読性を犠牲にして汎化一般化と厳密化を優先しかつそれらが必ずしも嵌合しないから……とか言おうと思ったけど、どうも、文章自体の性格とはあまり関係なさそうです。むしろやはり、人が言葉を大事にしていないこと、きちんと読んでいなかったりきちんと書いていなかったりすることに直面させられるから、みたいです。
それが分担だと、言葉を大事にするのは私の担当で彼らの担当じゃないからそれでいいんだ、と思えればいいんでしょうけれど。

ま、その話はこの辺でやめといて、『交通の教則』になんとも不思議な文章がありました。
p66「旅客自動車や代行運転自動車の運転者などの心得
・バスの運転者は、発車するにあたり、その直前に安全が確認できた場合を除き、警音器を吹鳴すること。

ううむ、私がバスの運転者になることはまずないでしょうが、しかし、発車するその直前に安全が確認できた場合とできなかった場合とそれぞれどうしたらいいのか、誰か説明してくださいよ。

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 Re: 『交通の教則』
 2010/06/25 12:32
塩見真一
お役所文の事例をもうひとつ。先に取り上げた「高齢運転者等専用駐車区間」を詳しく説明しているところです。

p46「8-5 高齢運転者等専用駐車場所等での駐車、停車
(1)駐停車や駐車が禁止されている場所であっても、標識(P.44の図5の下に右の図1があるもの)により標章車に限り駐車や停車が認められている場所(高齢運転者等専用場所)では、専用場所駐車標章(図2)に登録(車両)番号が記載されている普通自動車のみが駐車や停車ができます。

ううむ。いや実は、これがお役所文なのかどうかよくわかりません。悪文であることは間違いないけど、何が悪いのかを分析することさえ難しいくらい悪いので。

むー、ひとまずかっこ書きをとっぱらってみましょう。
(1)駐停車や駐車が禁止されている場所であっても、標識により標章車に限り駐車や停車が認められている場所では、専用場所駐車標章に登録番号が記載されている普通自動車のみが駐車や停車ができます。

いやー、まだはっきり構造がつかめない。もう少し肉を削ってみましょうか。
(1)禁止されている場所であっても、標識のある場所では、標章に登録番号が記載されている普通自動車のみが駐車や停車ができます。

ははあ、これくらいいじり回すとだんだんわかってきますね。骨組みはつまり……
(1)高齢運転者等専用駐車場所(図1の標識がある場所)では、専用場所駐車標章(図2の標章)を掲出した自動車のみが駐車や停車ができます。
……ということらしいです(図1は、P.44の図5を合わせたものに描き直すという前提で)。さらにいったん削った肉を戻すなら、この後に続けて……
専用場所駐車標章にはその車両の登録番号が記載されていなければならず、またダッシュボード上など見やすい位置に掲出していなければなりません。なお、他の車両はその場所にある駐停車禁止または駐車禁止の標識に従わなければなりません。
……とすればよさそうです。

と、わかったはいいけどつまり何がまずかったのか、私は何を直したのか、だよな。それを説明できないと、ほんとにできることにならないと思うんだが。

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 Re: 『本屋の森のあかり(7)』
 2010/06/25 12:19
塩見真一
そういえばいつだったか、じゃない、「NANA」が映画化された直後くらいに、福家書店新宿店で新刊コミックを見ていたときのことを思い出しました。あそこはメインの店舗と通路(ときどきグラドルの握手会をやってたりしますが)をはさんでコミックの店舗が分かれているんですが、そのコミック店にデカい声が響きわたったんです。

あーもしもし、おい、NANAってマンガだぞ、
どうすんだよ10何巻あるってよ


や、文字にするとはっきりしないけど、声には明らかにマンガを見下した調子があったんですね。

くっそオヤジ、おまえがマンガを見下すのは勝手だが、自分がどこにいるか考えろ、おまえいまこの店内にいるほぼ全員を敵に回したんだぞわかってるか。
顔は見なかったけど、やれやれ、ほんと最近のオヤジはなっちょらんなあと思いました。てゆうか、どうしてこういうやつに限って声がデカいのかねえまったく。

まあくそオヤジはともかくとして、私がひとつ、書店で新刊を見るときに気を付けていることがあるんです。
「これはつまらなかった」とか「この人のはしょーもなかった」とか「なんだこんなのの2巻が出るのか」とか口に出さないこと。新刊をひととおり見ると2〜3冊についてはこういうことを思うのだけど、それがぽろっと口から漏れてしまわないよう、私ゃけっこう気を使っています。

……いやあ、やっぱり私は書店員になれそうにありませんね。

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 『本屋の森のあかり(7)』
 2010/06/24 10:57
塩見真一
磯谷友紀 講談社 ISBN978-4-06-340805-8 2010年6月11日 定価:本体419円(税別)

偶然ではありますが、このあいだ取り上げたあかりちゃんの続きが出ていたので、つい買ってしまいました。

ぎっくり腰が治って仕事に復帰したあかりさん(中央)、フェア企画が回りきらず苛立つ副店長の緑君(右)、飲みつぶれた緑君をいきがかりで自宅に連れ帰ったもうひとりの副店長リカさん、名古屋へ遊びに来た本店の栞さん、このごろなんだかぼんやりしている本店副店長の寺山さん(左)、ネットに専念したいという本店の宮守店長、理工書が苦手で寺山さんと次期店長の座を争うつもりはないもうひとりの副店長長崎さん。
やー、1巻から6巻まで話がほとんど進んでないなーと思ったんだけど、なんかこの7巻で急展開。登場人物がそろったということですかね、人物相関図、登場人物を並べて誰が誰に片想いしているとか誰が誰に告白して振られたけどまだ片想いしているとかいった矢印を引いてみるとけっこう面白いものができそうです。……点線矢印疑問符付きが多いな。まあだから面白いのか。

ストーリーに絡んでくる本は、寺田寅彦「柿の種」、エルンスト・テオドール・A・ホフマン「クルミ割り人形とネズミの王様」、オスカー・ワイルド「The Fisherman and his Soul」、フランツ・カフカ「僕たちは滑りやすい地面を走っていた」の4点。私にはもうまるでわかりません。カフカの雰囲気だけわかるくらいだな、やはり私は「本好き」とは言えないようです。

しかしね、オビのコピー、「ここからブンガク」ってのは、いかがなものかと思いますよ。「マンガが誘う文学世界、そこから広がる新しい世界。」って、なんだかマンガを文学より低く見た物言いに見えます。この本を買う人はまずマンガ好きのはず、「マンガの中に文学がある」とかなんとか、もうちょっと言いようがあったんじゃありませんかねえ。

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 『春夏秋冬 島の山旅』
 2010/06/23 12:34
塩見真一
敷島悦朗 東京新聞 ISBN978-4-8083-0932-9 2010年4月28日 定価;本体1333円+税

はあー定価;ってセミコロンを使ってる本は初めて見たですよ。

てそれはさておき島の山。私も数年前から、島と山の組み合わせには興味を持っています。地理学での定義から言うと本州も島なので日本の山はすべて島の山になってしまうんですが、それよりもっと小さい島の山、島全体がひとつの山のような、海から直接立ち上がる山は、なんでかわからないけど「ゆかし」、興味深くそこへ行ってみたい気にさせられます。
こういう本が出るということは、そういう気がするのは私だけじゃない、ある程度の数の人が島の山に興味を持っているということに違いないですが、うーむ、なぜ島の山にひかれるのですかねほんと。

取り上げられている島と山を抜き書きすると、小笠原父島ジョンビーチ/母島乳房山、佐渡島金北山、屋久島宮之浦岳、対馬白嶽/有明山、八丈島太平山/八丈富士/三原山、青ヶ島池ノ沢丸山、伊豆大島三原山、利島宮塚山、神津島天上山、御蔵島長滝山御山、猿島、江ノ島、三宅島、西表島、石垣島於茂登岳/野底マーペー、伊是名島チジン山/伊是名城跡、天草太郎丸嶽次郎丸嶽、福江島七ツ岳/鬼岳、沖縄本島与那覇岳/嘉津宇岳/名護岳/石川岳/伊江島城山、淡路島諭鶴羽山/先山、小豆島星ヶ城山/碁石山、宮島弥山、周防大島文殊山嘉納山/嵩山、隠岐の島大満寺山、篠島、来島・因島白滝山、金華山、利尻島利尻富士、礼文島礼文岳、大黒島、さらにニューカレドニアドーニー高原/モンコギ、済州島ハルラサン、と、国内外で35島48コース。最後に島特有の注意事項と情報源がまとめてあります。
トレッキングという観点なので、必ずしも山に登るコースではありませんが、しかしなあ、いくら手近と入っても猿島や江ノ島は「散歩」であってトレッキングでもないと思うですよ。江ノ島なんか橋でつながってるんだから、島ですらないような気がするし。

と、いちゃもんめいた言いかたになってしまいましたが、いやつまり、どうもいまいち感があります。私がすでに行ったところ・行くつもりですでにかなり調べてあるところが多いからかもしれないけど、情報としてどうも食い足りない気がします。むー、地図の扱いが悪い、見にくいし載っていない島もあるといったあたりが主因かとは思いますが。

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 Re: 『交通の教則』
 2010/06/23 12:12
塩見真一
いい機会なので、『交通の教則』からお役所文体の事例をいくつか拾ってみました。

p3「高齢運転者等専用駐車区間制度の導入」というところ
○都道府県公安委員会は、多くの高齢者等(高齢者のほか、障害者、妊婦も含む)が日常生活において利用する官公庁や福祉施設等の周辺の道路上に高齢運転者等専用駐車区間を設置することができることとされました。

まずはやはり「××等」、これが出てくると俄然お役所っぽくなる言葉づかいです。いや、いたしかたない場合は多いと思うんですよ。ひとつの言葉で表現しきれなくて適当な総称もない場合はたしかにあるし、新しい言葉を作るのは抜群の才能を必要とする。「××等」と呼ばざるを得ない場合も多いでしょう。
が、お役所言葉では、いたしかたないとは言えない場合でも「××等」が出てくるんですね。上の例だと「高齢者等(高齢者のほか、障害者、妊婦も含む)が」の部分です。こんなもの、かっこをほどいて「高齢者や障害者や妊婦が」と書けば済む話で、よほどすっきりする。こういうところで「等」が出てくるのはなんというかもう、毒されているといった感じですね。
私の仕事、技術ドキュメントでも「××等」は要注意です。とにかく翻訳者に、英語にできないと言われる。使う場合にも「等」ではなく必ずひらがなで「××など」と書きますが、いずれにせよ××そのもの以外に何が含まれるか何が含まれないか、その境界線がわかるかどうかよく考えて使わないといけない。それで結局のところ、「など」を使うのは総称的な表現とともに「〜〜や〜〜など」と例を挙げる場合にほぼ限られます。上の例だと、「高齢者や障害者や妊婦など援助を必要とする運転者が」みたいな感じですかね。
ああそうか、こういう言いかたをすると理由を盛り込むことになる。つまり安易に「等」を使うと例示だけが残って、なぜ・何のために、本質が読み取れない文章になってしまうんだな。そして的外れな解釈をする人が出てくる……やれやれ。

もひとつ、「こととされました」というのも、お役所文によく見られる言い回しです。ここでは「できる」をはさんで「設置することができることとされました」となっていますが、基本的に「××することとされています」「××できることとされています」という形、「××すること」「××できる」という決まりごとを、オレが決めたんじゃないよと伝えている言いかたです。
立法と行政、お役所の立場を正しく表現した言い回しだとは思いますが、まあなんだ、自分では使いたくない言葉ですよねやっぱり。

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 『交通の教則』
 2010/06/19 13:03
塩見真一
警察庁交通局 財団法人全日本交通安全協会 平成11年4月1日−平成22年4月19日第19改訂版

5年ぶりに都庁の第2ビルにある免許更新センターへ行って、運転免許を更新してきました。免許証にICチップが埋め込まれて少し厚くなったり暗証番号を2つも設定しなければならなくなったり、あと普通免許だったのがなぜか中型免許に格上げされたりしました。や、ICチップはともかく私ゃペーパードライバー、ええと、3年前に宮崎でレンタカーを運転したっきりだし、中型自動車に相当する車を運転したことも無いし、それなのに格上げされてしかも「優良運転者」ということになるのは正直どうかと思います。まあ、手続きが簡単で手数料も安くて講習も短時間で済むのは助かりますが。

で、その講習のテキストとして渡されたのがこれ『交通の教則』。ほかに『安全運転のしおり』『人に優しい安全運転』の2冊と、自転車の安全運転についてペラ1枚と、安全運転自己診断チェックシート……や、日ごろあなたが運転している様子についてありのままに答えてくださいって言われてもなあ、日ごろ運転してない私はほんとどうしたらいいんですかね。

ま、それはそれとして。
この『交通の教則』、さらに講習について興味深いのは、実にまったくさまざまな人を対象としているという点です。年齢性別、立場や社会経験、理解能力、さらに肝心の自動車運転の能力も経験も、それに対する興味関心の程度もまるっきり玉石混淆。こんなに相手を絞れない状況で情報を伝え説明する状況、ちょっと他には無いでしょうね。飛行機の「安全のしおり」が似てはいるけど、情報量も相手の数も桁違いですし。
私も技術ドキュメントを書く仕事の中で、ふだん特に意識してはいないけど、やはり読み手の能力や関心をアテにしないわけにいきません。この書きかたで通じるはず、この背景は基礎知識としてわかっているはず、知らなくても調べるはず、難しい内容でも理解する努力をしてもらえるはず。そういう前提がもし通用しないとなると……んー、能力のほうはなんとかできなくもないけど、関心が低いという想定は絶対に無理、根本的に成り立たないと思う。

そういう目でこの教本を見ると……よく努力はしているけど、やはりやりきれてはいませんねえ。もともとが到底やりきれないような話ではあるんだけど、やりきれないところでつまり「お役所文体」になってしまうのは、まあそれもそれでしょうがないことですかねえ。

とりあえず、こういう優良運転者講習より、ペーパードライバー講習というのがあったらそっちを受けるのが私にはよさそうだけどなと、そんなことを思いました。や、どっかに提案できる話かなこれ。

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 『となりの柏木さん(1)』
 2010/06/18 10:25
塩見真一
霜月絹鯊 芳文社 ISBN978-4-8322-7904-9 2010年4月27日−2010年5月15日第2刷 定価:[本体590円]+税

「お絵描きSNSで始まる恋、があってもいいと思う。」

……て、オビに書いてありますが、やれやれ、pixivの本が出始めたころに「デジ絵という言葉が出てきたようなのでレビューを書いておきたい」とか言ったことがありましたが、書かなくてよかったのかな、やはり結局は「お絵描き」みたいです。まあ考えてみたらpixivの合い言葉だって「お絵描きたのしす」だった。「デジ絵」はつまるところ「E電」みたいな言葉だった、ということですかね。

それはさておき、pixivみたいなサイトを舞台にしたお話……というとあまり正しくない、やはりタイトルの「となりの柏木さん」のほうが中身に近いです。
つまり、柏木琴音さんは主人公桜庭雄斗くん(17)の同級生、教室で席が隣なのです。表紙で見てのとおりいくらか「ツン」な子ですが、それかあらぬか隣になって半年も経つのに桜庭くんはろくに口も聞いてもらえない。
いや、あらぬなそれは、柏木さんがどうだという以前に、桜庭くんのほうが3次元に興味がないからですよ。「ガジェット・メイド」というアニメに萌え、pixivみたいなサイトで観るSayaneさんの絵に萌え、さらにこの表紙でわかるかな、抱き枕だし、バイトも学校から遠いのにわざわざアニメショップを選ぶ、自ら認めるヲタク少年だからですな。だいたい、物語のはじまりが「質問:ヒトの感情で、もっとも制御不能なものとは何か?」ときて、そりゃまあやっぱり恋だろうなあと思いながらめくったら「それは……萌えという感情だー!!」て、やれやれ恋より萌が先ではそりゃ3次元に冷たくされてもしょうがない、柏木さんがオタ嫌いだからじゃないんだよ桜庭くん。

ととと、危ない、柏木さんの秘密がちらりと見えてしまいました。まあこれだけならいいか、柏木さんはけしてオタ嫌いではありません。その先に秘密が2つあるのです。まあ、私が隠したところで読者には第1話であっさり2つともバレてしまいますけど。
もっとも桜庭くんにバレるのは1つだけ、お絵描きSNSに関する秘密はまだしばらく秘密のまま。1つ共有している秘密と、1つ残っている秘密と、そのバランスの中で物語が進みます。

まあ、秘密ったってこれくらい言えばもう見当が付くでしょというか、いまいち展開がありきたりというかヒネリに欠ける。引き込まれる物語だとは言いがたいんですが、まあ、絵はいいよな。制服も。2巻が出たころ生活に困ってなければまた買ってもいいかなと、そんな感じです。

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 Re: お詫びと訂正: 【読感】わびれもの
 2010/06/18 10:01
塩見真一
あー。
形式的に間違っている場合についてはシステム側でチェックして警告を出すようにしてあるのですが、別の本のISBNと間違えた場合はチェックできていませんでした。
ううむ、小さくても穴があると誰かが落ちるという、なんの法則でしたっけ。
またもう少し気の利いたチェックができるようなしくみを考えます。

とりいそぎ、内部のデータを修正して、「オンライン書店へ」ボタンで正しく『わびれもの』が出るようにしておきました。

ところで『わびれもの』自体は、昨日買ってきたんですが、もうちっとわびれた表紙にはできないもんかなーと思いました。てゆうか、書店で見て一瞬わからなかったですよ。

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 お詫びと訂正: 【読感】わびれもの
 2010/06/17 12:50
みちる
紹介した「わびれもの」のISBNコードが間違っていました投稿の際ちょっと手を抜いてしまったのが原因です。

正しくは
ISBN978-4-8124-7278-1
です
申し訳有りませんでした

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 『ことりっぷ 日光・奥鬼怒』
 2010/06/14 11:15
塩見真一
− 昭文社 ISBN978-4-398-15309-8 2010年1月1版6刷 定価:[本体800円]+税

某ファンクラブで日光へ日帰りバスツアーに行くので、てゆうか実のところ昨日行ってきたので、なにかガイドブックをと思って買ってきたものです。

類書もいろいろある中でなぜこれにしたか、ですよね。んー、まだ若いくらいの女性層を想定している雰囲気、とはいえ中身に別段の特徴はない、まあ地図がわりとしっかりしている、ような気がしたからです。日光市街から中禅寺湖湯ノ湖霧降高原までカバーする広域図(1:90000)と、中心部拡大図(1:12000)、二社一寺境内のイラストマップが本文にあり、さらに巻末には綴じ込み、切り離せる地図が付いています。

もっとも、私らは観光バスで門前まで乗りつけて、輪王寺を通り抜けて東照宮を一巡りしてきただけなのでね、役に立ったのはつまり、こことこことここ、128ページのうち6ページだけか。まあいっか、クイズの答えもわかったし。

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 【読感】わびれもの
 2010/06/14 02:16
みちる
小坂俊史 竹書房 ISBN978-4-06-340779-2 2010年6月10日 定価:本体743円(税別)

以前小坂俊史はテツなのかと言う話題が一瞬出たのでこれを
4コマ王子小坂俊史の趣味満開で送る初のエッセイコミック「わびれたスポット案内」です
もちろん出てきます 「秘境駅」 他テツ分は高めですね

表紙の煽りに「横見浩彦」(日本全国の駅を全部上下車している人)まで出てます 作中にももちろん出てきます
と私のテツ分の話になるのですが(苦笑)

表紙がちょっとうるさいです某旅行誌風です
そして裏表紙は某路線の路線図なのですが 駅名を見るまでもなく解ってしまった自分に反省しています

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