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2014年なかごろの掲示板

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 『枕草子』
 2014/05/11 08:43
塩見真一
池田亀鑑校訂 岩波書店 ISBN4-00-300161-3 1962年10月16日−2009年10月5日第64刷 定価(本体800円+税)

『更級日記』といっしょに買ってきて、さすがにすぐには読み切れなかったのがこちら。
客先への行き帰りをつかって2週間くらいかかりましたが、ううむ、「幼女萌え日記」の部分はどうやら散逸した様子です。
「ちひさきものはみなうつくし」は151段にありましたけれど……
うつくしきもの 瓜にかきたるちごの顔。雀の子の、ねず鳴きするにをどり来る。二つ三つばかりなるちごの、いそぎてはひ来る道に、いとちひさき塵のありけるを目ざとに見つけて、いとをかしげなるおよびにとらへて、大人などに見せたる、いとうつくし。
(4行省略)
 雛の調度。蓮の浮葉のいとちひさきを、池よりとりあげたる。葵のいとちひさき。なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし。
……という次第で、これを「定子さまハァハァ」と訳すのはぜんぜん無理ですね。「ようじょようじょハァハァ」も、ちょっと無理じゃないかと思います。そもそも中宮定子に少納言が仕えるようになったのは、はっきりとはわからないそうですが、定子さま17か18歳のころだそうですし。

とはいうものの。定子さまについて書かれているところには、たしかに並々ならぬ愛情が込められているように感じられます。どこだったかな、読んでいて紙面から光があふれだしたような印象さえ受けたのですが、んーつまりこれは、「ウチの定子さまは世界一」ということなんでしょうな。少納言の目に定子さまは輝くばかり美しく映っていて(いくぶんかは宮廷のきらびやかさであろうとは思いますが)、その輝きが文章にも表れているということでありましょう。

「萌」とはちょっと違うような気はするけど、いやあんまり違わないような気もする。いずれにしても、1000年の時を隔ててなお輝きを伝えている文章というのは、えらいものですな。

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 Re: 『姫のためなら死ねる (4)』
 2014/05/09 09:13
塩見真一
『姫のためなら死ねる (4)』からもうひとつ。p34の2本めです。
[国風文化の代表作を雑にまとめると
 幼女萌え日記と]色狂いの妄想癖の
[ハーレムエロラノベと]黙りなさい姫狂いの妄想癖め
[オタ日記と]浮舟いいお浮舟
[自伝的純愛小説と]大好きなカレが病気で死んじゃって……でも私負けない
「あとネカマ日記か──……」
「……」
平安時代始まりすぎだろ私が言うのもなんだけど!!

ちなみにこの少しあと、平安時代の終わりごろにはあの「とりかへばや」、男女逆転物語が成立します。
まあつまるところ始まったとか終わったとかいうより、人間の考えることはあんまり変わっていない、1000年前から十分おかしかった、ということでございましょう。

あーでもそうだな、百合が始まったのはだいぶ最近ですよね。いつごろだかわかりませんが。

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 Re: 『姫のためなら死ねる (4)』
 2014/05/08 08:42
塩見真一
ちなみに、くずしろさんが菅原孝標女をどう描いているかというと、p33の1本めの4コマめ、←のような感じであります。
『更級日記』にあたってみるとp7……
いみじく心もとなきまゝに、等身に薬師仏をつくりて、手あらひなどして、人まにみそかに入りつゝ、「京にとくあげ給ひて、物語の多く候ふなる、ある限り見せ給へ」と、身を捨てて額をつき、祈り申すほどに、
……というところですね。

12歳かそこらの娘がどうやって等身大の仏を作ったのかも不思議なんですが、なぜ薬師仏なのかも不思議です。薬師さまが何か物をくださるような仏だったと思われていたのか、それともこの、つまり自分が源氏物語を読みたくてたまらないのは「病気」だと思っていたのか。

いずれにしても孝標女はその薬師仏を捨てて都に上り、源氏物語は叔母・藤原道綱母から貰う。「……やれやれ、オタに付ける薬はないな」、と薬師さまは思われたんではないでしょうか。

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 『姫のためなら死ねる (4)』
 2014/05/05 11:08
塩見真一
くずしろ 竹書房 ISBN978-4-8124-8549-1 2014年4月21日 定価[本体819円+税]

更級日記を読み返したくなったきっかけというのがこれ。
姫には「きみ」とかなが振ってありますが、中宮定子のこと、さくら色の少女であります。そして中宮定子に仕えた女房といえば清原元輔の娘、すなわち清少納言が青色の女人。なんでも枕草子には幼い定子さまのかわいらしさに清少納言がぐうの音も出てない記述があるそうで……あったかなー、「ちひさきものはみなうつくし」は確かにあったけど定子さまを指してのことだったかどうか、まあとにかく、枕草子は「幼女萌日記」である「ちひさきものはみなうつくし」を現代語にすると「定子さまハァハァ」であると、くずしろさんの萌脳に火がついてできたマンガである、と思っていただければよろしいかと。
#実を言うと←は1巻の表紙です。このへんの説明がしやすかったので。

主な登場人物は、中宮定子と清少納言、定子に仕える女房達、紫式部とその主の彰子、少納言のオカン代わりで気苦労の絶えない弁官、定子の父でこれまた気苦労の絶えない道隆と母でフリーダムな貴子、彰子の父で道隆の弟でチャラ男の道長と母で貴子さま目当ての倫子、定子の彼氏で素直になれない一条天皇、ゆるふわ系だけど非リア充には容赦のない和泉式部、そしてこの4巻で「源氏物語オタ」として参戦するのが菅原孝標女、というわけですよ。

史実はもういろいろすっ飛ばされています。さしあたり菅原孝標女が紫式部に会ったことは現実にはなかったはずで、「やびゃあ、ふつくしいよ紫様、わぁぁあはぁぁ」などと叫ぶこともなかったし、清少納言に源氏物語の良さを布教しようとしたこともなかったし、布教には失敗したけど…でも私だけが紫様の良さをわかってると思うとそれはそれで良し!などと考えたこともなかったはずですが、しかしもし会っていたならそういうことをしてもおかしくなかったわけで、つまり面白いです。いやほんと、2巻から1巻へ戻り買いすることはときおりあるけど、4巻から1巻へ戻ることはめったにありませんですし。

まあなんだな、萌脳というより百合脳、てゆうか百合ボケ脳と言うべきかもな。定子さまと少納言のらぶらぶはまあいいとしても、少納言×紫式部とか、貴子さま×弁官とか、貴子さま×倫子さまとか、いくらなんでも百合ボケな感じです。

いや悪くないけど。
そうだなあ、紅式部が幸せになれるといいですねえ。

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 『更級日記』
 2014/05/04 11:03
塩見真一
西下経一校注 岩波書店 ISBN4-00-300181-8 1930年5月20日−2014年3月14日第83刷 定価(本体420円+税)

ふとしたきっかけで、更級日記を読み返したくなりました。中学だったか高校だったか古典の授業以来で、言葉として覚えているのは「はしるはしる、わづかに見つつ」……というだけになってしまいましたが、片田舎の姫君、菅原孝標女が都ではやりの源氏物語に憧れて仏に祈り、上京して叔母から源氏やさまざまな草紙を貰って読みふけるというお話。そうそう、「まめまめしきものはまさなかりなむ」も思い出した。

文庫を探してみると意外に選択肢が多くて迷いましたが、学問上の評釈を読みたいわけではないし、現代語訳を読みたいわけでもなく、ざっと見たところ古文だけでもまずまず半分くらいは意味が取れるからそれで十分、紙面がいくぶん見辛いのも許容範囲、ということで岩波文庫に落ち着きました。

分量も案外に少なくてあっさり読み切りましたけれど、そっか授業で出てきたのはほんとに最初の段だったのかと驚いたり、でもまあたしかにこの部分の文章が飛び抜けて生き生きしてるよなと思ったり、後半の誰かと歌をやり取りしたというだけの話はよくある様式だけどやっぱ面白くはないよなと思ったり、これ要するにブログとおなじことじゃないかなと思ったり、それにしても何の話をしているのかわからない文章だなと思ったり。
てゆうか、孝標女が源氏物語にベタはまりしていたのは結局のところその少女時代だけだったみたいですね。この回想記を書くころには、嫌いになったとかいうことではなさそうだけど、もうぜんぜん醒めていて、単に楽しい思い出になっていた、ように見受けられます。

まあたしかになあ、これだけ外部刺激の多い現代のオタクでも、醒めるときは醒めますからねえ。

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 新庄→さくらんぼ東根
 2014/05/02 10:21
塩見真一
このあいだ、山形へ行ってきました。初日は福島から奥羽線・フラワー長井線・左沢線・仙山線、翌日は陸羽東線・陸羽西線・羽越線・米坂線。陸羽東線から陸羽西線への乗り継ぎに少々待ち時間があったので、「つばさ」でさくらんぼ東根まで行って戻ってきたのですが、新庄で買った特急券が←であります。
一見して何か妙な気がして、しげしげと見て、三角形が2つあること、しかも向きが違うことに気が付いて写真を撮ったわけですが、いったいなんだってこんなデザインになったですかねえ。

まあ「さくらんぼ東根」などという駅名はかなりのイレギュラーで……て、そんなこともないよな、「かみのやま温泉」もあるし、つばさは停まらないけど「茂吉記念館前」もある。「くりこま高原」も「いわて沼宮内」もある。発駅と着駅を横に並べる方法では紙面にうまく納まらない、苦しいレイアウトになるケースは十分にある。
てゆうかそもそも、同じひとつのことを表している「新庄→さくらんぼ東根」と「SHINJO→SAKURAMBOHIGASHINE」がバラバラに見えるのは、情報デザインとしてなんとも稚拙でありますよ。

たかが切符、なんだろうけど……

   新 庄
   SHINJO
    ▼
 さくらんぼ東根
SAKURAMBOHIGASHINE

……これだけでいいのに。

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 この掲示板について
 2014/05/02 09:29
塩見真一
この掲示板は、2014年5月からしばらくのあいだ使う掲示板です。

しばらくといっても、「はじめ」が4ヶ月だったし「なかごろ」となったらまたやっぱり4ヶ月で次にいかないとならなくなりそうですが、まあそれならそれでいいかと。
そんな次第で引き続き、物を作ること・技術を伝えることを考えていくことにいたします。

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