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2012年初秋の掲示板

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 Re: 『ぼおるぺん古事記(一)天の巻』
 2012/10/18 22:59
塩見真一
さて、左は天之巻の一部、最初の投稿で引用した「爾に殿の縢戸より出で向かへし時に伊邪那岐命語りて詔りつらく」の箇所、伊邪那岐が黄泉国へ行き死んだ伊邪那美に戻ってきてくれと呼びかけるあたりの原文です。
実は原文を読んでみて、おおう意外にけっこう読めるもんだなあとか思ったりもしたのですが、そうは言ってもすらすら読めるわけじゃない。どんなことが、どんな文字で書かれているかを漫画のほうで見ているから、それに相当する箇所がわかるという程度に過ぎません。

漫画と原文を比べてみれば漫画のほうが「わかりやすい」、そりゃまあ当然と言えば当然ですが、なぜわかりやすくなっているのか、私としては職業柄興味をひかれます。
表現方法にどういう工夫があるからわかりやすいのか、そのあたりで何かわかること学べることがあるに違いない、と、いうわけで以下次号。

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 Re: 『ぼおるぺん古事記(一)天の巻』
 2012/10/18 22:42
塩見真一
>日本人なら読んでおいて欲しいと思います(笑)。

いや私はねー、これが面白いというのはオレ(米には執着ないのに)やっぱり日本人なんだなあ……と思ったんですよ。ぜんぜん理屈になってないんだけどねえ。

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 Re: 『ぼおるぺん古事記(一)天の巻』
 2012/10/18 00:59
麗明舎
なんか出雲でイベントがあるらしく、急遽発売らしいですよ<地の巻

古い写本が無いため偽書説も根強い古事記ですが、日本人なら読んでおいて欲しいと思います(笑)。

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 『ぼおるぺん古事記(一)天の巻』
 2012/10/14 11:38
塩見真一
こうの史代 平凡社 ISBN978-4-582-28746-2 二〇一二年五月二五日−二〇一二年九月九日第四刷 定価:本体1000円(税別)

スサノオミコトと木にまつわるエピソードはWebであたってみるとあちこちで紹介されていたんですが、んーこれはやっぱり原文・古文で読みたいなあと思って「日本書紀」を探していたら、こんなものを見つけてしまいました。正確に言うと見つけたのは2巻、地の巻のほうなんですが、この際だしさかのぼって読んでみることにしました。んーその、こうの史代さんは私としては微妙な位置の漫画家さんで、つまり新刊はチェックしているけど無条件で買うわけじゃないという、なんでだかはうまく説明できないんですが、まあともかく「古事記」という条件が付いたのでこれは買ってみたと、そういう次第であります。

開いてみたら驚きましたね。巻頭が和綴じふうというか、つまり袋綴じの外側に印刷してある形で、「天地初發之時於高天原成神名天之御中主神……」古事記の原文がびっしりと手書きされているんですよ。これ、こうのさんが書いたのかなあ。
本文というか漫画はその一「なれりなれり」からはじまって「あなにやしあなにやし」「うみうみ」「よみよみ」「そそぎそそぎ」「べそべそ」「さがみにかみ」「ゑらぐゑらぐ」「くさぐさ」「なづちなづち」「すがすが」と11話。あめつちの始まりと神々の誕生、伊邪那岐・伊邪那美の国産み、神産みと伊邪那美の死、黄泉の国と黄泉比良坂の契約、禊ぎと天照大御神たちの誕生、建速須佐之男命の家出、高天原での乱暴と天岩戸、踊る天之宇受売命と須佐之男の追放、大気都比売の馳走、櫛名田比売と八俣のをろち、須賀の八重垣と大国主命への系譜、という具合で、あらすじだけは知っている話が原文に沿って丁寧に再現されています。や、漫画の中では振り仮名付きの書き下し文、「爾に殿の縢戸より出で向かへし時に伊邪那岐命語りて詔りつらく」といった調子なんですが、ときどき巻頭の原文と引き比べてみたくなったりするんですね。

いやなるほど、1300年にわたって語り継がれるだけのことはあります。古事記という物語、なかなか面白いですねこれは。

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 『日本有用樹木誌』
 2012/10/08 12:33
塩見真一
伊藤隆夫ほか 海青社 ISBN978-4-86099-248-4 2011年7月10日 定価[本体3,333円+税]

なんかしばらくぶりに面白かった本。
日本に生育する樹木のうち、有用とされているものを取り上げたオールカラーの図誌です。図誌というのは、図鑑よりは文章が多く、事典よりはビジュアルが多い、というつもりですが、そうですねえ、紙面の3割ちょっとが写真ですね。樹形とか葉の形とか分布域とかどんな実がなるかとかいった植物図鑑的な情報に加えて、有用性つまり人間がその樹木をどんなことに使ってきたかという観点からの解説が盛り込まれているのが特徴で、面白いところです。

取り上げられている樹の名前を抜き書きすると、アカマツ・クロマツ、アケビ・マタタビ・サルナシ、アコウ・ガジュマル、アスナロ・ヒノキアスナロ、イスノキ、イチイ、イチョウ、イヌマキ、イボタノキ、ウツギ類、ウメ、ウルシ、エゾマツ・アカエゾマツ、エノキ、エンジュ・イヌエンジュ、オニグルミ、カエデ、カキノキ、カシ類、カツラ、カバノキ、カヤ、カラマツ、キハダ、キリ、クスノキ、クリ、ケヤキ、コウゾ・ガンピ・ミツマタ、コウヤマキ、ゴヨウマツ、サカキ類、サクラ、サワラ、サンショウ、シイ類、シキミ、シデ類・アサダ、シナノキ、スギ、スズカケノキ、センダン、タブノキ、タラノキ・ハリギリ、チャノキ、ツガ、ツゲ、ツツジ類、トガサワラ、トチノキ、ドロヤナギ・ヤマナラシ、ナナカマド、ナラ類、ナンテン、ニガキ、ニレ類、ネズコ、ネムノキ、ハゼノキ・ヌルデ・他のウルシ科樹木、ハンノキ、ヒノキ、ヒマラヤスギ、ヒルギ類、フジ、ブナ、ホオノキ、マユミ、マンサク、ミズキ、ムクノキ、モミ、ヤチダモ・アオダモ、ヤナギ類、ヤブツバキ、ヤマグルマ、ヤマグワ、ユズリハ、と、ざっと100種。
「有用」の基準がいまいちはっきりしないんですが、木材として有用、ということがまず第一みたいです。建築材のほか、家具材、器具材、細工材。刳材という言葉は初めて知りましたが、なるほど、ろくろで挽くような加工がうまくできる木は限られるわけですね。
他の「有用」としては、繊維材料、紙料、飼料、染料、薬品、塗料、ロウ、精油、香辛料、防虫剤、研磨剤、包装材、シイタケ原木、神事・仏事・年中行事用の飾り、それからもちろん食用・燃料・緑化。
スサノオノミコトが毛を抜いて撒いたのがスギやヒノキになったとかこの用途にはこの木を使えと言ったとかいうエピソードが古事記だったか日本書紀だったかに載っているはずですが、いずれにしても、これだけさまざまな樹木にさまざまな用途があるというのは、つまりは日本の自然の豊かさであり、日本人が木を使って暮らしてきたということ、なんですね。

実は昨日、「海の森」に木を植えてきました。アラカシ、クロマツ、タブノキ、エノキ、ユズリハ、だったかな、12本までは数えたんだけど、たぶん36本くらい。今朝からもう背中やら腕やらが痛くてたいへんですが、まあとにかく、あの木々がちゃんと根づいてくれますように。

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 『街の木のキモチ』
 2012/09/20 08:51
塩見真一
岩谷美苗 山と渓谷社 ISBN978-4-635-58029-8 2011年3月3日 定価:[本体1400円]+税

ええとこの表紙、何が写ってるかわかりますかね。イチョウの木なんですが、幹一面に葉がめったやたらに生えて、なにやらもこもこした怪物にも見える、腕やら顔やら描き足したくなるのもなるほどもっともです。これつまり、枝をどかどか切られたんですね、たぶん冬の間に。春先になって、切られた枝を補うため幹のあちこちで休眠していた芽がいっせいに葉を出したわけです。幹の途中から葉が出ることを「胴吹き」と言うんだそうで、たとえば枝が折れたときのための保険と考えるとよくできたしくみなんですが、しかしこのイチョウとしたら要するに苦し紛れで胴吹きしてるわけで、ここまで激しいとなんというかもう、断末魔、みたいにも見えますね。

このイチョウは枝を全部いっぺんに落とすという無茶な切りかたをされたせいでこんなふうになっちゃったわけですが、そもそも街中は人間様の都合が優先する世界、木にとってけして生きやすくないというか、無茶な生きかたを強いられることが多い。で、「悪い星のもとに」「こんな私にだれがした?」「私はあきらめない」「希望の光」「根っこが大事」「幸せな樹木」と6章に分けて全部で31例、なんとも妙ちくりんな生きかたをしている木々を「路上観察」的に集めたのがこの本であります。

んー、路上観察的というのはつまり妙な物事を面白がる姿勢なんですが、私としてはこういう木を見るとむしろ胸が痛むもので、いまひとつこう、入り込めませんでした。写真の上に描き足されているイラストも邪魔というよりふざけて見える、良い編集だとは思えません。
著者の岩谷さんは女性で初めて森林インストラクターになり樹木医になった方なんだそうですが、まあつまり、私とは木を見る姿勢がちょっと違う、面白がるだけの余裕がある、ということなんだろうと思いますが。

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 Re: 『ラブコメ』
 2012/09/08 10:16
塩見真一
実は一昨年だったかその前だったか、私はできる限りたくさん米を食べようと思って、食事のたびに主食が米だか麦だかを記録してみました。1年やってみた結果が、……さあてどこへいったかな、あったあった、2009年でした。まとめると……

   米:586食 65.3%
   麦:300食 33.4%
   他: 11食  1.2%

……という具合。合計が365×3=1095より少ないのは欠食が196あるのと12月31日の昼・夜がデータにないから、あと他というのは芋と椎です。

米食率65.3%というのは多いのか少ないのかわかりませんが、まあ、「できる限りたくさん米を食べよう」と思った結果がこれですからね。2010年以降はデータを取っていませんが、おそらく米と麦が逆転したくらい、あるいはさらに麦が増えていると思います。
生野菜をばりばり食べようとするとどうしても……という言い訳はできますが、いずれにしても私はそんなに米を食べたいとは思っていない、それほど米が好きなわけではない、ということですよ。

まあ、農業をやる機会があったら、米でも麦でもかまわないとは思いますが。

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 『ラブコメ』
 2012/09/06 10:12
塩見真一
原田マハ・みづき水脈 角川書店 ISBN978-4-04-110226-8 2012年7月30日 定価:本体1200円(税別)

ラブコメと言うと、んー、みず谷なおき『人類ネコ科』それから赤松健『ラブひな』、犬上すくね『ういういdays』、といったところが私の頭には浮かぶのですが、その「コメ」ではありません。日本人の多くが常食としている米、そのコメをこよなく愛する小説家と漫画家が自分で米を作ってみたという、そういうエッセイ&漫画です。

小説家の原田さんが農業新聞に連載小説を書くことになり、コメ作りを体験してみようとググってみたら昔の友達がコメ作り教室を開いていた……と、いう次第で、原田さんと旦那さん、担当編集者、知り合いの漫画家みづきさん、チーム原田4人は1畝(1アール)の田圃で自然農コメ作りに取り組むことになったのでした。
自然農というのはつまり自然の力・生態系のバランスに任せる農法で、農薬はもちろんなし、肥料も原則なし、さらに驚くのは土を耕さないこと。土の中にもさまざまな生物がいるわけで、彼らも含めて成り立っている生態系の中でコメを作ろう、というわけです。
場所は長野県、中央線信濃境駅の近く、八ヶ岳と富士山が見える風光明媚な土地。東京からそこへ、2週に1回くらい通って、種籾選別、籾殻燻炭、苗床作り、種籾おろし、草刈り、畦塗り、田植え、草取り、草取り、草取り、案山子作り、稲刈り稲架かけ、脱穀と、大震災をはさんで約10カ月のできごとが描かれています。
収穫は55キロ。まずまず豊作だそうです。

55キロを4人で分けると14キロ。魚沼産コシヒカリでも10キロせいぜい6000円ですから、交通費や講習費を考えたら、いや考えなくても労働量だけでぜんぜん見合わない……と思うかどうかはまあ人それぞれですよね。「農業」ではなく「農」なので、売るためのコメではなく自分で食べるためのコメを作ろうという話なので。

人と命と食べ物と、自然と社会と労働と、さまざま考えるべきことが含まれているのではありますが、しかしなあ、元編集者としては本造りに文句を言っておきたいですよ。前半100ページが原田さんの文章で後半60ページがみづきさんの漫画、同じ1年間のほぼ同じできごとを2回繰り返して読まされるつくりになっているんですよ。なんというか、まずごはんだけ全部食べてからおかずを食べるような、そんな感じ。せめて交互に並べれば、同じ中身の繰り返しでもこんなに気にならないんですがねえ。

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 この掲示板について
 2012/09/03 09:52
塩見真一
この掲示板は、2012年の9月・10月用のメイン掲示板です。

東京ではここ数日、暑さがすうっと和らいだような感じ。このまま涼しくなってくれればいいなあと思いつつ、秋に向けて体力の調整を始めないといけません。
そんななかで引き続き、物を作ること・技術を伝えることを考えていくことにいたします。

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