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2010年盛夏の掲示板

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 Re: 「環境問題と自動車産業」
 2010/07/22 12:14
塩見真一
富士重工の前身は言わずと知れた中島飛行機、太平洋戦争時に「隼」や「疾風」を作った航空機メーカーですが、現在でも比重は小さいながら航空事業部門を持っています。持っているというか、気持ちとしてはトップに置きたいらしい、ビジターセンターの前庭の一番目立つ位置には、レガシィツーリングワゴンでもラリー仕様インプレッサでもなくジェット練習機T-1、2003年まで現役で飛んでいたという853号機がきれいに手入れされて置いてありました。きれいというのは手入れの問題だけではなく、なんだろう、737-800のウィングレットのような目を引くポイントはないのですが、つまり流麗、よくバランスのとれた美しい機体でした。

て、そこまではあんまり関係なくて、写真はそのT-1 853号機のコクピット後部にあったマーキングです。キャノピーつまりコクピットを覆っているアクリルのカバーを緊急時に外部から開ける方法のインストラクションですね。
これが実に大きくはっきりと記載されているので私は目を引かれました。キャノピーを外から開けなきゃならないのは、つまりパイロットが自分で開けられないとき、意識を失っているか行動の自由を失っているか、どっちにしても瞬刻を争う緊急事態のはず。そういう場面のための説明文には、そこらのマニュアルとは次元の違う「わかりやすさ」が要求されるはずです。

と、思ってとりあえず撮影してきたのですが、抜き書きしてみると次のとおりです。
1.ボタンを押せばドアーが開く
2.中の赤色桿を後に引け
3.右舷キャノピコントロールドアーの
 クランクハンドルでロック解にせよ
4.人力でキャノピを開け

むう。簡潔、というか遠慮のない指示で、さすが軍用機という感じですが、あまりわかりやすくありません。わかりやすくないというより、開けやすいつくりになっていないから説明も簡単にはできない、ということみたいです。
なんでかなー、中の赤色桿を後に引けばキャノピーが開く、というつくりにだってできると思うんですが、これはつまりそんなに簡単に開けられなくてもいい、ということですかねえ。

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 Re: 『OAG Pocket Flight Guide Asia Pacific June 10』
 2010/07/22 11:48
塩見真一
読み直してみて気が付いたけど、いまいち心もとない「網羅性」「均一性」て、これは表紙に書いてあった\"comprehensive and unbiased\"です。これはつまり、弱みは開き直れという手法、実は網羅できていないし均一でもないことを作る側でわかっていて、わかっているからこそキャッチコピーにしているということかもしれないですね。

と、思っていたら、自分で乗り継ぎ便を探す説明のところにその秘密が書かれていました。
このガイドに紹介されている接続は操業航空会社の費用で出版されており、最短距離の接続ではない場合があります。
……だそうです。
航空会社の費用でというのはつまり、金を払った会社の便を載せてある、ということですね。ううむ、ここで言われているのは乗り継ぎ便のことだけだし、あっていい話だとは思うけど、するとつまり新中央航空や天草エアラインが載っていないのもひょっとするとそれと似たようなことなのかどうか、気になりますねえ。

気になることがもうひとつ。
それぞれのフライトに機種コードが記載されていて、たとえばTokyoからYamagataへ飛ぶJL1259便はM81であるとかYonagoへ飛ぶNH811便は738であるとか書かれています。さらに巻末の機種コード表を見れば、M81とはBoeing(Douglas)MD-81というジェット機で、738とはBoeing 737-800 Passengerというジェット機だとわかります。

がしかし。
これは有意義な情報なんでしょうか。アレな人、たとえば、DHC8-Q400に乗ってみたらキャビンが細長くてどうだったとか737-800はぴんと張ったウィングレットが美しいとかMD-81/90がリストラされる前に乗っておきたいとか言う人にとってはたしかに重要な情報ですが、この時刻表のターゲットは普通の旅行者のはず。普通の旅行者が飛行機の機種にそれほど関心を持っているとは思えないのですが、いったいどういう理由で機種情報が載せてあるのでしょうか、不思議です。

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 Re: 『OAG Pocket Flight Guide Asia Pacific June 10』
 2010/07/20 11:57
塩見真一
さて、OAG航空時刻表のうまくない点について。

まず、空港ではなく都市が単位となっているのですが……あれ、その説明をきちんとしていなかったな。ひとつの都市に複数の空港がある場合があるので、たとえば羽田空港と成田空港はどちらもTokyoとして載っていて、空港コードHND/NRTが添えてあるのです。Osakaだと伊丹/関西/神戸がITM/KIX/UKBで示されています。左のような地図もあるのですが、しかし、この地図に京都や奈良や神戸や堺が示されていないのはどういうわけか、首を傾げてしまいますね。どうやら、複数の都市がひとつの空港に結びつく場合は考慮されていないようで、Tokyoの地図にも千葉や横浜やさいたまは描き込まれていません。
しかし、そういうルールなのかと思ったらSeattle/Tacomaという記載がありました。SeattleとTacomaがどういう位置関係なのかいまいちわかりませんが、しかしいずれにせよそういう書きかたができるのならOsaka/Kyotoとするのが正義というものでしょう。

そしてまた、都市の拾いかたの基準がいまいち怪しい。
小松空港はKomatsuで載っているけどKanazawaを拾ってもいいはずだと思うし、山口宇部空港がUbeで載っているのはちと首を傾げますね。この前利用した米子空港がYonagoで載っているのはまあ順当ですが、しかし私が行ってきたのは松江ですし、出雲空港とあわせてMatsueを拾ってもいいんじゃないかという気がします。
また、IbaragiやOkinawaは都市名ではなく地域名だし、萩・石見空港がHagiでもMasudaでもなくIwamiという地域名で載っているかと思うと、いわて花巻空港はHanamakiと都市名で載っている。Shirahamaは載っていないけれど、だったら南紀白浜空港がどういう名前で載っているのか私にはもう見当がつきません。
せめて、載せてある都市の一覧、できれば国ごとに分けた索引があるといいだろうと思うのですが。

さらにさらに。
コウノトリ但馬空港はどうやら載っていないようです。ぜんぜん見つからない。
また、Ohshimaのところに羽田便は載っているけれども調布便はない。そもそもChofuが載っていなくて、調布飛行場から大島新島神津島へ毎日12便を飛ばしている新中央航空は取り上げられていない様子です。そう思って調べてみると、八丈島をベースに伊豆諸島を結んでいる東邦航空、天草をベースに神戸までやってくる天草エアラインの便はまったく載っていません。
その一方で、なぜ載っているのかわからない都市・便もあります。たとえば、アルファベット順で2番目に載っている都市はAbadeenでしたが、私はどこにあるのか調べてしまいました。イギリス北部、スコットランドの小都市です。掲載されている便はすべてロンドン乗継ぎ便ですし、アジア太平洋版にAbadeenを載せる理由があるとは、ちょっと思えません。

そんな具合で、どうも収載基準が怪しい、いささかアレな人として見ると「網羅性」「均一性」にどうも疑問が残ります。まあ、ふつうの旅行者にはほとんど影響はないだろうし、完全に網羅することは現実問題として難しいだろうし、適当な妥協点ではありましょうけれど。

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 Re: 『標高0メートルから山岳まで 地形図の読み方・歩き方』
 2010/07/20 10:41
塩見真一
この本にから話題をもうひとつ。地形図の上に歩いたコースが赤線で描きこんでありるのですが、こういうの、どうよって話です。
まあ実のところコースを示す手法として珍しい・変わっているわけではなく、たいていのガイドブックや登山地図はこうなっていて、私もさして疑問には思っていなかったのですが、たまたまこの本では地図と本文を読み比べる形になるもので、妙な例を見つけてしまったのですね。

左の図がそれ。五日市街道からちょっとそれて井の頭公園に寄り、崖下に池がある地形を見てみようというところです。この隣に写真があって「折れ曲がった橋の形は、地図にもそのまま描かれている。」という説明書きがついているのですが、この地図では折れ曲がった橋がどれだかわからないのですよ。橋の記号が赤い線で消されてしまっていて、「地図にもそのまま描かれている」ったって何のことやらわからない文になっています。私は折れ曲がった橋を探し、井の頭池に折れ曲がった橋があったかどうか思い出そうとしてから、赤線が池を渡っているところを見つけ黒が少しはみだしているのを見つけて、なるほどこれかとやっと納得しました。

これ制作段階で気が付かなかったんかなあ、ユルい仕事だなあ、と元編集者としては思いますが、いやなあ、実のところこういった編集制作のユルさはこの本のあちこちにあります。写真の順序や丸数字の位置が微妙に合っていないとか、「本書の36ページを参照」って36ページをめくってみても説明がないとか、「こんンクリート」とか。
まあそういうユルさは別として、やはりこの赤線をかぶせる方法だと元の地図の情報が失われてしまう。何か工夫する余地はあるように思います。

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 「環境問題と自動車産業」
 2010/07/20 09:40
塩見真一
……という面接授業を群馬まで行って受けてきました。5月に1日、学習センターで講義を受けて、もう1日、富士重工の矢島工場を見学してきましたのです。
私はペーパードライバーだし、自動車というものには縁がないのですが、でもまあ縁がないからこそ学んだほうがいいとも言えないことはないし、何より工場見学なんて面白そうなものを見逃すことはなかろうというわけです。

それで、面白かったか。

面白かったですよ。
もとから設定されている見学コースで、つまり申し込めば誰でも見学できる範囲でしたが、ロール鋼板を切り抜き、型にはさんで成形し、溶接して組み立て、塗装工程は見せてもらえなかったけど、塗装の済んだ車体にエンジンやタイヤなど3万点もの部品を組み付け、テストする、という工程をひととおり眺めてきました。
前半、プレスと溶接の工程はほとんど自動化されていて、そこらの家より大きいプレス機がずごん・ずごんと動いていたり、いくつも並んだロボットアームが器用に動きながらぱちちっ・ぱちちっと火花を飛ばしていたり、形だけ出来上がったホワイトボディがリフトに乗って次々に運ばれていったりしたのですが、それを見ながら、工場ってのはものすごいシステムだなあと思いました。
や、自動車を作るのはすごい技術だけども、自動車工場を作るのはさらにすごい技術ですよ。

工場内は撮影禁止だったので、写真はビジターセンターに展示されていたスバル360の実寸石膏モデル。表面に10cm間隔の格子が引いてあり、このモデルから図面を起こしたらしいです。

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 Re: 『標高0メートルから山岳まで 地形図の読み方・歩き方』
 2010/07/17 12:55
塩見真一
読み返してみたら、どうも地形図の読みかたを教えるような内容がまるで含まれていないかのような紹介をしていますが、そういうわけではありません。
たとえば出発点の江戸川べりでは、水門・堤防・護岸・川原の草地・地下水路、さらに学校や煙突や小さい建物など、川べりによくある地物の写真とともにその記号を示してあります。その次に、「進行方向が上になるように地形図を持つ」と見出しを建てて、や、「上」というより「前」とか「向こう側」とかいうほうが適切じゃないかとは思うけどとにかく正置のテクニックがきちんと説明されています。
このほか「図上の省略と誇張を確かめよう」「扇状地形を等高線で浮かび上がらせる」「登山道が教えてくれるおよその距離」と、東京横断ではなく地形図の観点で見出しを建ててあるのが3項目、さらに巻末には主な地図記号の説明と、「地形図の使い方の急所」として、縮尺、等高線、尾根と沢、傾斜、真北と磁北、についてざっと説明があります。

事務所の近く、私が毎日のように通る公園にある三角点を探してきました。50m四方ぐらいの小さな公園なんだけど、いっぺんは見当たらなくて、1万分の1図にあたって確かめて、もういっぺん行ってみたところ、植え込みの中に隠れていました。「三角点」と書いた5センチ角の白いプラスチックの標柱。
いやまあ何でできていても測量上の価値は変わらないわけだけど、ちょっと傾いてたしな、拍子抜けしましたよ。反対側に「大切にしましょう」と書かれていましたが、これでは掘り出して大切にしまっておく気にもならないよね、いや、こういう三角点もあるんですなあ。

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 『OAG Pocket Flight Guide Asia Pacific June 10』
 2010/07/17 11:09
塩見真一
UBM Aviation Worldwide Limited. ISSN 1756-557X Cover Price(within UK) £18.99

表紙ではなんだかわかりませんが、Flight Guideつまり航空時刻表です。北米、欧州、と地域別にでているうちのアジア太平洋版を買ってきました。紀伊国屋で2310円。
表紙にContains comprehensive ごにょごにょとつまり「幅広く偏りのないフライトスケジュールのデータを読みやすい形式にまとめてあります」と書いてあるのですが、つまりそこんとこです。時刻表というものは大量の情報を高度に様式化して伝えているもので、そこには学ぶべきさまざまな工夫があるに違いない、なかでも航空時刻表はポイント・トゥ・ポイントの比較的単純な情報であるから、分析研究の手始めには向いているでしょう。

……てな理屈をこねておけば税務署には経費と認めさせられると思いますが、でもまあ、やはり単に面白いから・世界の各地に思いを馳せ飛び回る飛行機に思いを馳せるだけでは、アレですからね。アレというのはつまり、去る7月3日の夜に海浜幕張から東京へ向かう電車の中でノートパソコン開いてIM@S予告動画をてれーっと眺めていた人と変わらない。や、あの人がアレだと言い切っては失礼なんだけども。
そんな次第で、この航空時刻表の構成について分析してみます。

まず巻頭には、英語、たぶんマレー語、日本語、韓国語、繁体中文、簡体中文、きっとタイ語の7カ国語で、読みかたの説明、いや、「フライトスケジュールの立て方」があります。この時点でアレな人はお呼びでない……じゃない、これは多くの読み手がこの本を読む目的をきっちりとらえた、うまい見出しと言えるでしょう。もっとも、中身は読みかたの説明だけですけどね。

さて本体はというと、出発都市ごと到着都市ごとのアルファベット順に、各便の運航日・出発時刻・出発空港+ターミナル・到着時刻・到着空港+ターミナル・便名・途中着陸回数・機種・クラスがまとめてあります。直行便のほか、航空会社が推奨する乗継便が多少違うフォーマットで示してあります。
出発都市ごと到着都市ごとのアルファベット順というのはつまり、まず最初にAbakan(Russia)からBamaul行きMoscow行きNorisk行きVladivostok行きが順に並び、次にAberdeen(UK)からBangkok行きHong Kong行きMelbourne行きOsaka行きPerth行きSeoul行きSingapore行きSydney行きTaipei行きTokyo行きが順に並び、次にAbu Dabi(UAE)からAlmaty行きAmritsar行き……とキリがないので以下省略しますがそういう順序。目次も索引地図もありませんが、ページ上部の柱に出発都市名が入っていますし、どこからどこへ行くと決まっていれば、辞書と同じように検索することができます。

巻末にはエアラインコードの一覧、共同運送便の運行会社を示した一覧、機種コードの一覧、州コードの一覧、本文に載っていない乗り継ぎ便の探しかた(7カ国語)と乗り継ぎ所要時間の一覧、空港のターミナルビルのコード一覧、さらに航空会社の予約用電話番号、各国の銀行休日、時差の表があります。

と、中身を説明したところで一段落。

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 『標高0メートルから山岳まで 地形図の読み方・歩き方』
 2010/07/15 11:14
塩見真一
渡辺一夫 誠文堂新光社 ISBN978-4-416-21006-2 2010年5月31日 定価[本体1800円]+税

やーこれ、書名と中身が違うですよ。
地図を読むのは難しいのか何がポイントなのかを考える一助になるかと思って買ってきた本その2なのですが、中身はというと東京横断記、東端の江戸川水門0メートルから西端の雲取山2017メートルまで地形図を見ながら歩いてみたという、紀行録です。
コースをたどってみると、都営新宿線篠崎駅から始まり、江戸川水門(東端近辺)−新今井橋−船堀橋−東大島駅−小名木川−仙台堀川親水公園−木場公園−富岡八幡宮・伊能忠敬住居跡−清澄庭園−両国−吾妻橋−浅草寺−上野恩賜公園−湯島神社−御茶ノ水駅−水道橋−文京区役所−飯田橋−四谷見附−新宿御苑−新宿駅−青梅街道−五日市街道−井の頭公園−再び五日市街道−玉川上水−鷹の台駅−玉川上水駅−砂川七番駅(三たび五日市街道)−横田基地−牛浜駅−羽村取水堰−小作堰−多摩川橋−(多摩川右岸)−調布橋−青梅駅前−奥多摩街道(左岸)−和田橋−吉野街道(右岸)−丹三郎−古里駅前(左岸)−白丸駅前−海沢大橋−(右岸)−氷川−栃久保−寺地−日原−日原鍾乳洞−天祖山登山口−大雲取谷−雲取山荘−1901ピーク(西端近辺)−雲取山−小雲取山−富田林道−日原川出合、でおしまい。途中寄り道して、水上バスで隅田川の橋を眺めたり、皇居を一周したり、都電荒川線をたどったり、ケーブルカーで御岳山に登ったりしています。
どこを歩いて何を見たか文章と写真・スケッチで示すのがふつうの紀行録ですが、この本はそれに地形図が加わっていて、興味深い地形や人工物を地形図と現地を対比してみたり、古い地形図を引っ張り出してきて町並みや道路の変化を読み取ったり、伊能忠敬ゆかりの地や古い三角点・水準点を見に行ったり、とまあ「地図好き」には面白そうに作ってありますね。
前書きには……
景色と地図を見くらべながら歩くという作業は、真上から描かれている地図上の事物を、横または斜めからながめた位置関係に「変換」する作業を行うことだ。
 真上から横に視点を変換する時に、図上に隠されている自然の営みや、人間のくらしや歴史が別の形で見えてくる。これが面白く、楽しい。
……とありました。

青梅から氷川までは奥多摩の山の登山口でそれこそ覚えこむほど地形図を見て現地へ行ってますし、また一方、新宿近辺や鷹の台のあたりなど現地をよく知っていても地形図で見たことはほとんどありませんでしたし、そんなわけで私にもけっこう面白く読めました。とりあえず、毎日通るあの公園に三角点があったらしい、それはちょっと確かめておかないと。

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 『70歳すぎても登れる山』
 2010/07/13 10:42
塩見真一
原薫 ポプラ社 ISBN978-4-591-11073-7 2009年6月 定価:本体1,143円[税別]

「歩けるうちに登っておこう50山」というのが副題。ここ最近高齢者の山登りが増えているらしいですが、著者原さんは64歳から山登りを始め、78歳のときにもう無理だと思って止めたという方です。その14年間を振り返ってみて、歩けるうちに登っておいてよかったなあと思ったのだそうで、その記録をまとめたのがこの本だということです。

霧ヶ峰・蓼科の5峰、北八ヶ岳の7峰、美ヶ原の4峰、麻績って松本から長野に抜けるあたりの3峰、志賀高原の6峰、北信の3峰、しなの鉄道沿線の9峰、琵琶湖東岸の7峰、福井県南の5峰、美濃・飛騨の4峰、三河の2峰、箱根の4峰、舞鶴近辺の3峰、と、全部で51コース62峰。
原さんは名古屋西方の愛西市にご在住だそうで、基本的に名古屋を早朝に出て日帰りするスケジュールになっています。

さて、情報の伝達という観点でひとつ。まえがきによると……
 世には数多のガイドブックが出ていますが、健脚を誇る方々の執筆なので筆の進み方も速く、途中の大事なことや迷うような所のことまでとばし省略されていることが多いものです。分岐の記述が無かったばかりに迷った末、選んだ道が誤りで何度戻ったことでしょう。(途中省略)一番大事な分岐点の記述には十分気をつけて書きました。あわせてバスの乗場や登山口への入り方も必要に応じて書いてあります。もうウロウロしたり引き返したりする様なことはありません。
……なんだそうです。健脚を誇る人が書いたらすっとばした説明になる、とは限らないと思いますが、ガイドブックで分岐や登山口の説明が抜けていることがあるのは事実ですね。行ってみたら説明と違っていたケース、道が付け替わったとかいう不可抗力ではなくもとから間違い・説明不足だったに違いないケースを私もいくつか挙げられます。
て、それは脇道だな、問題は結果としてきちんと書けているか、読者がウロウロしたり引き返したりしないで済むガイドブックができているか、ということですが、残念ながら私の知っているコースがぜんぜん取り上げられていないもので、私には結論を出せません。
まあ、文章で説明している時点で、この本も既存のガイドブックとそんなに違わないんじゃないかと思います。たとえどんなに気をつけて書かれていたとしても、道がどうなっているのかといった3次元的な情報を文章から読み取るのは難しいですよ。
手描きのルートマップが添えられているので多少の助けにはなる、たぶん登山口近辺は地形図より詳しいでしょう。もっとも、これで十分かどうかは現地を知らないのでなんとも言えないし、地形がわからないので私としてはやはりコースがわかった気がしませんです。

まあこれは結局のところ、私がコースを理解するやりかたにマッチしない、というだけの話。多くの人がガイドブックをどう読んでどう理解して山へ出かけていくのか、そこから考えないといけないんですが。

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 話題の映画
 2010/07/10 12:44
塩見真一
このあいだ水曜日、話題になっているからという、およそ私らしくない理由で映画を観てきました。「ザ・コーヴ」です。
公開初日は多少の騒ぎになったらしいですが、4日経ってみると街宣車どころかプラカードひとつない、ごくふつうの小映画館の風景でした。いや、ガードマンが一人客席に、目立つような形でいましたけどね。

さてそれで。
観たからには、いや観たからこそはっきり言う。
ふてえ奴らだ、こんな「活動家」にでかい顔させるな。

まあ、観る前に言うつもりだったことより若干トーンダウンせざるを得ないのだけど、しかしやはり「正義」の押し売り、白人がキリスト教徒が世界各地の「原住民」の文化を踏み潰してきた歴史に重なる思想が根底にあると見えました。そんなことはかんべんしてほしいし、この21世紀の地球上でもうあってはならない、認められる思想だとは思えない。そんなものを振りかざす「活動家」って、いやまったくかんべんしてほしい。

彼ら、リック・オバリやOPS:Oceanic Preservation Societyの目的はひとつ、和歌山県太地町で行われているイルカ漁を止めさせることだそうです。そのためにこの映画で主張されていることを整理すると、まず、水族館などで見せ物として飼育することがどれだけイルカを不幸にしているかということ、そのイルカのほとんどが日本で、太地で捕獲されているということ。イルカがいかに賢く愛らしい動物であるかということ。日本が国際捕鯨委員会でいかにこすからく立ち回ってイルカ漁を規制させないかということ。太地で捕獲されクジラ肉と偽って売られているイルカを食べることで水銀を摂取するのがどれだけ危険かということ。そして太地の奥まった入り江でいかにイルカが殺戮されているかということ。

私が観る前よりトーンダウンせざるを得ないというのはここのところです。隠し撮りされたそのシーンは、たしかに「殺戮」「虐殺」という言葉が似つかわしかった。イルカの血で真っ赤に染まった海面……いったいどんだけ色調補正かけたんだろなとは思うけれども、その中をのたうつイルカの姿を見ればたしかに胸が痛む。イルカが好きな人にとってとうてい耐え難い光景であることは十分に理解できる、共感を覚えます。
しかし、ここが私には一番腹立たしいところなんだけども、奴らがこちらへ共感を覚えることはまったく無い。太地の人々の想い、この土地この海で人とイルカとの上を流れてきた長い長い時間を奴らはあっさり踏みにじる。

最初に「活動家」と言いました。活動家というと聞こえがいい、映画の中でもなんか誇らしげに使われていたけれども、私がかっこ付きで言うのは、彼らの行動原理が実力行使だということです。
彼らの活動は実力行使です。網を切って他人が飼育しているイルカを逃がす、大勢で漁場のまんなかにサーフボードで乗り出して漁を妨害する、「No Photo」というプラカードを掲げた漁民を撮影する、夜中に立ち入り禁止のゲートを乗り越えて岩に見せかけたカメラを設置する、イルカ殺戮の映像を抱えて国際捕鯨委員会の会議場をのし歩く。
や、リック・オバリが国際捕鯨委員会を除名されたというのは、イルカ漁に反対したからじゃなく、会議に乱入したからじゃないのかね。こんな活動が誇っていいものなら、この映画の上映を妨害することだって誇っていいことになる。
太地の人々が彼らに対して「けぇれけぇれ」と無礼な態度を取るのは、町が許可を出さないのは、この映画を撮る以前に彼らが太地の人々に対して無礼な態度を取り、何か許しがたいことをしたからに違いありません。

イルカ漁を続けるかやめさせるかという争いは文化摩擦のひとつに過ぎませんが、他人の心情や各地の風習や社会の秩序を顧みない実力行使というやりかた・実力行使をよしとする考えかたは見過ごせません。どんどん狭くなっていくこの地球上でそういう行動・思想はもはや認めがたい、こんな奴らにでかい顔させちゃいけない、と私は思いました。

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 Re: 『高杉さん家のおべんとう(2)』
 2010/07/09 13:59
みちる
…買ってしまいました
2刊が入荷したてでペーパーが付いてきました@有隣堂

赤福の話とか味噌の話とか確かに名古屋ですねぇ
制服が名古屋襟じゃないのがちょっとマイナスかな
因みにわが家のハンバーグも味噌入りだったりします最近作ってませんが(^^;

…読んだ人にしか解らない…

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 Re: 『高杉さん家のおべんとう(2)』
 2010/07/09 10:26
塩見真一
名古屋ネタか、私は地名が出てくるところしかわからないので、藤岡ってどのへんだろうと探してみたり三国山から見える風景を地図を見ながら想像したりするくらいです。街中の風景とか中学校の制服とかに、ちょろっと名古屋が顔を見せていたりするのかなと思ってみたりもしますけど。

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 Re: 『高杉さん家のおべんとう(2)』
 2010/07/07 18:43
みちる
いやいや 今日久し振りに中学校からの友達と会ったらこの本お勧めされちゃいました…

こういうのは運命だから明日予約本を取りに行ったときにおいてあったら買います。
彼女曰く「時々出てくる名古屋ネタがこそばゆい」そうです

何でも著者が彼女と同じ大学で二年ぐらい上らしいのですが彼女は漫研でしたが曰く「プロになるような人は投稿で忙しくて漫研なぞ入らない」そうです(^^;

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 『高杉さん家のおべんとう(2)』
 2010/07/06 10:38
塩見真一
柳原望 メディアファクトリー ISBN978-4-8401-3333-3 2010年6月30日 定価:本体590円(税別)

はて、ついこのあいだ1巻が出たばかりのような気もするんですが、お弁当と地理学のはざまで30男と女子中学生が同居する高杉さんち、2巻です。

ようやく就職し社会人や保護者として少しずつ階段を登り始めたた高杉くん、友達もできて2年生になりクマさんプリントも隠すようになった久留里ちゃん、あとは誰を拾えばいいかな、小坂サン、香山センセ、なつ希、節子さん、マルちゃん、御手洗先生、元くん。うむー、どうもこの丸宮家の男二人は私には扱いにくいぞ。

テーマが「家族の絆」から、もう少し一般的な「人付き合い」にシフトしている感じです。高杉くんの人付き合いスキルの低さがだんだんとあらわになって、裏では「残念な人」と呼ばれるようになったらしいです。
いやその、私もそのへんについては、スキル自体はこれまでの人生で身に付けてきてるはずだけど最近めっきり体力が落ちてきて、スキルがあっても使えない、別の形で残念な人になりつつあります。まあ、人付き合いはスキル=技術でするものかという議論もできるのだけど、とりあえず私は少し筋トレかなんかしないと。

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 この掲示板について
 2010/07/02 10:49
塩見真一
この掲示板は、2010年7月・8月用のメイン掲示板です。

7月8月はまさに夏であるわけですが、温暖化とかヒートアイランドとか、夏がさらに暑くなってきている近年でもあり、ここはひとつ「盛夏」でいこうかと。

いずれにしても季節とは特に関係なく、技術を伝えること・物を作ることをさまざまな側面から考えていくことにします。

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